Googleマップクチコミを巡る消費者庁の措置命令とは?
2024年6月7日クリニックのGoogleマップ”ステマ”クチコミ獲得に対して消費者庁が措置命令を出したことが注目を浴びています。
本記事では、この措置命令の詳細とその影響について解説します。
マチノマ大森内科クリニック措置命令の概要
2024年6月7日に東京都大田区のマチノマ大森内科クリニックが、Googleマップ星5の口コミ投稿を条件にインフルエンザワクチンの接種費用から割り引くことを伝えたとして消費者庁から措置命令があった。
ステルスマーケティングとは
ステルスマーケティングとは、企業が自社の商品やサービスを宣伝するために、消費者にその事実を隠して、あたかも第三者からの口コミやレビューのように見せかけるマーケティング手法のことです。
具体的には、自社の従業員や関係者に商品やサービスを無料で提供したり、報酬を支払って口コミやレビューを書かせたりする行為などが挙げられます。
多くの国でステマが問題視されるようになり、法的な規制が強化されました。
日本では2023年10月に景品表示法で新たに禁止行為としてステマが明示されました。
マチノマ大森内科クリニック措置命令の概要
医療法人社団「祐真会」が運営する「マチノマ大森内科クリニック」は、Googleマップの口コミ評価を高くする見返りに、患者にインフルエンザワクチン接種の料金を割り引くことを依頼していました。
これにより、口コミ評価を偽装したとして、消費者庁は景品表示法違反で同法人に対し、不当表示をやめるよう措置命令を出しました。
今回の措置命令は、2023年10月に景品表示法で新たに禁止行為となったステルスマーケティングに対する初の行政処分です。
消費者庁は、当クリニックに対して不当表示をやめるよう命じ、再発防止策を講じることを求めています。
口コミの状況
2023年1月から2024年1月末までの間に508件の口コミ投稿があり、そのうち269件が問題の期間に投稿されたものです。
消費者庁は、実際に違反と認定した45件の投稿を調査し、そのうち10件はすでに削除されていることを確認しました。
消費者庁の対応と影響
今回の事案について消費者庁は、Googleマップの口コミに関するステルスマーケティング行為に対して、事業者に対し、以下の措置命令を発出しました。
- ステマ行為の禁止
- 今回の件を一般消費者に対して、景品表示法に違反するものである旨を周知徹底すること
- 再発防止策を講じて、これを祐真会の役員及び従業員並びにクリニックの医療従事者及び従業員に周知徹底すること。
消費者庁は、これらの措置命令を通じて、口コミの信頼性を回復し、消費者の利益を守ることを目指しています。
業界への影響
消費者庁の措置命令は、Googleマップの口コミを利用したマーケティング活動を行っている企業に大きな影響を与えています。
特に、ステルスマーケティングに頼っていた企業は一定ありますが、ビジネスモデルの見直しを迫られる可能性があります。
また、企業は今後Googleマップの口コミ投稿に関して、「Googleのガイドライン」を遵守し、「景品表示法」についての社内教育を強化し、法令遵守を徹底する必要が出てくるでしょう。
また、ステマ規制については過去の口コミも違反になるので注意が必要です。
消費者への影響
消費者庁の措置命令は、消費者がGoogleマップの口コミをより信頼できるものとして利用できるようになることを期待されています。
今回の事例は”見せしめ”的な措置だとすると、一般消費者に向け「このようなことがある」と周知できたと思います。
消費者自身も、口コミの内容を鵜呑みにせず、複数の情報源から情報を収集し、冷静に判断することが重要です。
Googleマップや食べログなど様々な口コミサイトが存在しますが、あくまで個人の意見ですし、本件のようなことも実際かなりあるので慎重に口コミを活用しましょう。
消費者庁の取り組み
消費者庁は、Googleマップの口コミに関する措置命令以外にも、様々な取り組みを行っています。
- 消費者への情報提供
- 企業に対する指導・監督
- 違法行為の調査・取締り
- 消費者保護に関する法令の改正
消費者庁は、これらの取り組みを通じて、消費者の利益を守り、公正な競争環境を維持することを目指しています。
今後の見通し
消費者庁は、今後もGoogleマップの口コミに関する監視を強化し、違法な口コミ操作を厳しく取り締まっていくと思われます。
また、企業に対しては、口コミ操作に関する法令遵守の徹底を促すでしょう。
Googleマップの口コミは、消費者がサービスや商品を選ぶ際に重要な情報源となっています。
そのため、企業は、口コミ操作を行わず、消費者に信頼されるような口コミを収集することが重要です。
また、消費者は、口コミの内容が信頼できるものであるかどうかを判断する際に、より注意深く情報収集を行う必要があります。
クチコミの信頼性への取り組み
Googleは、消費者庁の措置命令を受け、ステルスマーケティング行為の防止に向けた取り組みを強化しています。
具体的には、以下の対策を講じています。
- 口コミ投稿のガイドラインを明確化し、違反行為の検知と削除を強化
- ユーザーからの通報機能を強化
- 人工知能(AI)を活用した不正な口コミ検知システムの導入
- 違反行為を行ったアカウントの停止
Googleは、これらの対策を通じて、Googleマップの口コミの信頼性を回復し、ユーザーにとって安全で信頼できるサービスを提供することを目指しており、日々アップデートしています。
他のプラットフォームの動向
Googleマップ以外にも、食べログやホットペッパーグルメなど、口コミサイトやアプリは数多く存在します。
これらのプラットフォームも、ステルスマーケティング対策を強化し、口コミの信頼性向上に取り組んでいます。
具体的には、以下の対策が挙げられます。
- 口コミ投稿のガイドラインを厳格化
- 違反行為の検知システムの導入
- ユーザーからの通報機能の強化
- 違反行為を行ったアカウントの停止
これらのプラットフォームは、消費者庁の措置命令を参考に、それぞれのサービスに最適な対策を講じています。
Amazon
Amazonは、偽装レビューやステルスマーケティング対策として、以下の取り組みを行っています
- レビュー検証: 購入履歴に基づいて「Verified Purchase(確認済み購入)」のマークを付け、信頼性の高いレビューを区別。
- AIと機械学習の活用: 偽レビューや不正行為を検出するための技術を導入。
- 法的措置: 偽レビューを投稿する業者やユーザーに対して、法的措置を積極的に取っています
YouTube
YouTubeは、ステルスマーケティングを防止するための規制を強化しています。
- 広告の明示: クリエイターが動画内で広告やスポンサーシップを明確に示す必要がある。
- ポリシー違反の取締り: ポリシー違反が発覚した場合、動画の削除やチャンネルの停止などの厳しい措置が取られる
食べログ
近年ステルスマーケティング(ステマ)や偽装レビューの問題が取り沙汰されています。これに対し、食べログは信頼性の向上を図るために様々な対策を講じています。
- AIと機械学習の導入: 食べログは、AIや機械学習技術を活用して、投稿されたレビューの内容を解析し、不自然なパターンや疑わしいアクティビティを検出する仕組みを強化しています。
- 専門チームの設置: 専門のモデレーターチームが、レビューを定期的にチェックし、ステマの疑いがあるレビューを削除しています
まとめ
今回、消費者庁がGoogleマップの口コミに関する措置命令を出したのは、近年増加している口コミ内容・点数操作による消費者への影響が深刻化しているためと考えられます。
今後より一層企業は、口コミ操作(ステマ行為)を行わないよう、厳重に注意する必要があります。
また、消費者は、口コミの内容が信頼できるものであるかどうかを判断する際に、より注意深く情報収集を行う必要があります。
企業は適切な口コミ収集方法を採用し、顧客との良好な関係を築くことで信頼性の高い口コミを収集することができます。
また、口コミを適切に管理し信頼性を保つことで、消費者の信頼を得ることができます。